【堺市】パーキンソン病や脳血管疾患で大切!「フィードフォワードリハビリテーションとは?」

はじめに
こんにちは!
大阪府堺市中区大野芝町にある介護保険を使用しない完全自己負担型の自費リハビリで、脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・パーキンソン病・指定難病など幅広い疾患に対応しており、ロボットリハビリや型にとらわれない最先端のリハビリを受ける事が出来る「脳神経リハビリHL堺」というリハビリセンターで勤務する理学療法士です!
退院後、自宅でのリハビリに取り組もうとする皆さんの中には、「どんなリハビリが本当に効果的なのか」「何を意識すれば運動機能は回復するのか」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、特に脳卒中後の回復を目指す方にとって大きな助けとなる「フィードフォワードリハビリテーション」についてご紹介します。
このアプローチは、「予測して動く力」を鍛えることで、より自然でスムーズな動作を取り戻すことを目指します。
目次
- フィードフォワード制御とは?〜動く前に脳が準備するしくみ〜
- フィードフォワードリハビリの基本的な考え方
- 脳卒中リハビリにおけるフィードフォワードの効果
- 実際の訓練法〜自宅でも取り組めるリハビリ例〜

フィードフォワード制御とは?〜動く前に脳が準備するしくみ〜
私たちが何かの動作をするとき、例えばコップを取る、歩き出すといった場面では、脳がすでにその動きを“予測”して準備を整えています。
これが「フィードフォワード制御」と呼ばれる仕組みです。
フィードフォワード制御では、体が動き出す前に脳が運動の計画を立てて筋肉に指令を出します。
つまり、外部からの感覚(触った感覚や視覚情報など)を待たずに、あらかじめ準備して動作を開始するのです。
この機能は、瞬時の反応が必要な場面やスムーズな動作のために非常に重要です。
脳卒中によってこのフィードフォワード機能がうまく働かなくなると、動きがぎこちなくなったり、バランスを崩しやすくなったりします。
そこで、リハビリを通してこの「予測して動く力」を鍛え直す必要があります。
フィードフォワードリハビリの基本的な考え方
フィードフォワードリハビリでは、脳と体の“予測力”と“調整力”を再構築することが目的です。
そのために、いくつかのポイントを意識して訓練を進めていきます。
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運動学習を通じて予測力を鍛える
運動は、繰り返すことで脳がその動きを覚えていきます。
これを「運動学習」と言います。
特定の動作(たとえば歩行や物を持ち上げる)を何度も繰り返すことで、動作前に必要な筋肉がどのタイミングで動くべきかを脳が予測できるようになり、動きが滑らかになります。また、日常生活で必要な動作をゴールとして設定する「課題指向型アプローチ」も有効です。
たとえば、「椅子から立ち上がってテーブルまで歩く」といった課題をこなすことで、現実に即した動作を通じて予測力を高めていきます。 -
視覚や感覚のフィードバックを活用する
リハビリの中では、視覚情報(目で見て動く)や触覚・平衡感覚などの感覚を使って、動作を修正・補強する方法も重要です。たとえば、歩行中に障害物を視覚的に確認し、それを避けて歩く練習は脳が動作を予測し、状況に応じて調整する力を高めます。
また、不安定な床の上でバランスを取りながら立つ練習では、触覚や体の位置感覚を刺激し、より繊細な動きの調整力を育てます。 -
内部モデルを再構築する
私たちの脳は、身体がどう動くかという「内部モデル」を持っています。
脳卒中の後はこのモデルが壊れてしまうことがありますが、繰り返しの動作練習を通じて誤りを体験し、それを修正することで再びモデルを構築できます。これは「エラー駆動型学習」と呼ばれ、失敗をきっかけにして脳が修正を学習していく仕組みです。
この過程を通して、動作の正確さや予測能力が向上します。

脳卒中リハビリにおけるフィードフォワードの効果
フィードフォワード制御を活用したリハビリは、脳卒中患者にとって以下のような効果があることが報告されています。
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内部モデルの再構築と神経可塑性の促進
脳の損傷によって壊れてしまった動作のパターンや計画能力を新しい神経経路を使って再構築することができます。
これを支えるのが「神経可塑性(しんけいかそせい)」という脳の柔軟な適応力です。フィードフォワードリハビリでは、繰り返しの練習やフィードバックを通して新しい神経回路を作り、失われた機能の代わりとなる動きを獲得していきます。
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動作の精度が向上する
フィードフォワード制御が向上すると、動きの開始から終了までの流れがスムーズになり、無駄な力を使わずに的確な動作ができるようになります。
特に視覚情報と組み合わせた訓練では、動作のタイミングや強さのコントロールがしやすくなり、転倒のリスクも減ります。 -
患者のモチベーションを高める
このリハビリの良い点は、成果が「見える」ことです。
練習を続けるうちに、自分の動作が確実に改善していると感じられることで、「もう少し頑張ろう」と前向きな気持ちになれます。
回復が実感できることは、継続的なリハビリの最大のモチベーションにつながります。

実際の訓練法〜自宅でも取り組めるリハビリ例〜
フィードフォワードリハビリには、さまざまな訓練方法があります。
いくつか代表的な例をご紹介します。
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ターゲット追従訓練
タブレット端末や画面上に表示される動くターゲットを電子ペンなどで追いかける練習です。
視覚と手の動きを連携させることで、動作の予測精度を高めます。 -
視覚フィードバックを使った訓練
目で見た情報を頼りに動作を調整する方法です。
たとえば、鏡の前で腕の動きを確認しながら運動することで、動作のズレを脳が修正していきます。 -
機能的電気刺激(FES)
麻痺がある部位に電気刺激を与えて筋肉を動かす方法です。
これにより、筋力の低下を防ぎ、神経と筋肉のつながりを再教育していきます。 -
ロボット支援リハビリ
ロボットを使って正確な動作を補助しながら、繰り返しの練習を行います。
ロボットのサポートによって、安全に高頻度の訓練が可能です。 -
バーチャルリアリティ(VR)
VRを使えば、現実に近い仮想空間でさまざまな動作課題に取り組むことができます。
視覚的に楽しく、リラックスした環境で訓練できるため、集中力やモチベーションの維持に役立ちます。 -
感覚再教育プログラム
触覚や身体の位置感覚を鍛える訓練も効果的です。
例えば、目を閉じた状態で物を握る訓練などを通して、感覚情報を頼りにした運動制御能力を回復させていきます。
まとめ
フィードフォワードリハビリテーションは、脳卒中後の運動機能回復において非常に重要な役割を果たします。
脳が動作を予測して指令を出す力を再構築することで、動きの正確さやスムーズさが改善され、日常生活の自立度も高まります。
このアプローチは、神経の再編成(神経可塑性)を活用しながら、患者さん自身の努力とともに進んでいくリハビリです。
「ただ動く」ではなく、「予測して動く」ことができるようになることで、生活の質は大きく変わっていきます。
退院後のリハビリに不安がある方も、今回ご紹介した方法を参考にしながら、ぜひ積極的に取り組んでみてください。
予測力を高めるフィードフォワードリハビリテーションが回復への確かな一歩となるはずです。
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執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。