【脳神経リハビリHL堺】運動麻痺の種類とその特徴

はじめに
病院を退院されたあと、「もう一度しっかり身体を動かせるようになりたい」と強く願う方は多くいらっしゃいます。
その思いに応えるためには、まず「自分の身体に何が起こっているのか」を知ることが大切です。
今回のテーマは「運動麻痺の種類」についてです。
脳や脊髄の損傷によって起こる運動麻痺にはさまざまなタイプがあり、それぞれ原因もリハビリの方法も異なります。
この記事では、リハビリに取り組む上で知っておきたい運動麻痺の基本について、わかりやすく解説していきます。

目次
- 運動麻痺とは何か?
- 運動麻痺の仕組み
- 運動麻痺にはどんな種類がある?
- 片麻痺とは?
- 対麻痺とは?
- 運動麻痺の原因
- リハビリの可能性と重要性
運動麻痺とは何か?
運動麻痺とは、脳や神経の障害によって意識的に手や足を動かす力が弱まったり、まったく動かせなくなったりする状態を指します。
よく見られる原因としては、脳卒中や脳出血といった脳の病気があり、手足に力が入らない、思うように動かないといった症状が現れます。
私たちの身体の動きは、脳から出た指令が神経を通って筋肉に届くことで成り立っています。
しかし、脳や脊髄などの中枢神経にダメージがあると、その信号が途中で途切れてしまい、筋肉が動かなくなってしまうのです。
運動麻痺の仕組み
運動麻痺の多くは、脳の「運動野」と呼ばれる領域に障害が起こることで発生します。
この領域が損傷を受け、そこから出される「動け」という指令が筋肉まで届かなくなってしまいます。
脳の右半球が損傷すると、左半身に麻痺が出るというように、麻痺は損傷を受けた側とは反対の身体に現れるのが一般的です。
これは、脳と身体の神経経路が交差しているためです。

運動麻痺にはどんな種類がある?
運動麻痺にはいくつかの分類があります。
症状の程度や麻痺が現れる部位によって以下のように分けられます。
- 完全麻痺(paralysis):筋肉をまったく動かせない状態。指一本さえ動かすことができません。
- 不全麻痺(paresis):完全ではないものの、動きがかなり制限されている状態。力が入らない、動かしにくいといった感覚が出ます。
- 片麻痺(hemiplegia):身体の右半分、あるいは左半分にだけ麻痺が起こるタイプです。
- 単麻痺(monoplegia):腕や足など、一部の四肢だけに麻痺が現れます。
- 対麻痺(paraplegia):両足に麻痺が起こる状態で、特に歩行機能に大きく影響を与えます。
この中でも、日常的によく見られるのが「片麻痺」と「対麻痺」です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

片麻痺とは?
片麻痺とは、身体の片側(右か左)の上下肢に麻痺が出る状態を指します。
主に脳卒中や脳外傷、脳腫瘍などの「脳」の障害が原因となります。
たとえば、右側の脳に障害があれば、左手と左足に麻痺が出る、といった具合です。
手足が動かしにくくなることで、歩行や着替え、食事など、日常の動作に大きな制限がかかるようになります。
ただし、片麻痺の場合は、リハビリを通じて少しずつ動きが回復していく可能性があります。
脳は「可塑性」といって、他の部分が機能を代替しようとする性質があるため、早期のリハビリが重要です。
対麻痺とは?
対麻痺は、両足に麻痺が現れる状態で、主に脊髄の損傷や病気によって起こります。
脊髄は、脳から出た命令を手足に届ける「情報の通り道」ですが、ここに損傷があると、その下にある筋肉の動きが妨げられてしまいます。
特に胸椎や腰椎のあたりで損傷が起こると下肢に対して麻痺が現れます。
そのため、歩くことが難しくなり、車椅子での移動が必要になることもあります。
脊髄の損傷は、脳卒中とは違って自然回復が難しいケースも多いため、より長期的な視点でのリハビリ計画が重要になります。
運動麻痺の原因
運動麻痺の原因として最も多いのは脳卒中です。
これは脳の血流が止まってしまうことで起こり、運動指令を出す機能にダメージが及びます。
また、脳出血や外傷性脳損傷、脳腫瘍なども原因となります。
さらに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患でも徐々に筋肉が動かせなくなることがあります。
一方、対麻痺のように脊髄が原因となる場合は、脊髄損傷や脊髄腫瘍、脊髄血管障害などが関与します。
リハビリの可能性と重要性
運動麻痺の改善には「時間」と「継続的な取り組み」が欠かせません。
リハビリを始めるタイミングは早ければ早いほどよく、特に退院直後の時期は回復へのチャンスが多く残っています。
ロボット技術を活用したリハビリ機器や専門的なトレーニングを通じて、神経と筋肉の再連携を目指していくことができます。
身体の状態に合わせたオーダーメイドのリハビリが鍵となりますので、焦らず、しかし積極的に取り組んでいくことが大切です。

まとめ
運動麻痺とは、脳や脊髄に障害が起こることで、自分の意思どおりに身体を動かせなくなる状態を言います。
代表的なものとして「片麻痺」と「対麻痺」があり、それぞれ原因や現れる部位が異なります。
- 片麻痺は、脳の障害が原因で、身体の片側に麻痺が出る状態。
- 対麻痺は、脊髄の障害が原因で、主に両足に麻痺が出る状態。
それぞれの麻痺に適したリハビリを行うことで、機能の改善や生活の質の向上を目指すことができます。
退院後のリハビリは、新しいスタート。
正しい知識を持って、自分らしい生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。
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執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。