動脈硬化が引き起こす脳卒中のメカニズムと予防

はじめに
「動脈硬化」という言葉を耳にしたことはありますか?
動脈硬化とは、血管の壁にコレステロールや脂肪が蓄積し、プラークという塊を形成することで進行する状態を指します。
このプラークが血管を狭めたり、剥がれて血栓となり脳の血管を詰まらせたりすることで、脳卒中を引き起こすのです。
本稿では、動脈硬化と脳卒中の関連性、そして具体的な対策について詳しく解説します。

目次
- 脳卒中の種類と動脈硬化の関連性
- 動脈硬化の進行と脳卒中リスクを高める要因
- 脳卒中予防のための具体的な対策
- 動脈硬化の改善に向けて
脳卒中の種類と動脈硬化の関連性
脳卒中には、大きく分けて「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があり、それぞれ動脈硬化と深い関わりがあります。
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脳梗塞:血管の詰まりによる脳細胞の壊死
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳に酸素や栄養が届かなくなり、脳細胞が壊死する病気です。
動脈硬化によって血管が狭くなったり、プラークが剥がれて血栓ができたりすることで発症します。
特にアテローム性動脈硬化は、脳梗塞の主な原因となります。
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脳出血:もろくなった血管の破裂
脳出血は、脳の血管が破れて出血する病気です。
動脈硬化が進行すると血管がもろくなり、特に高血圧の影響を受けやすくなります。
その結果、血管が破れやすくなり、脳出血を引き起こします。
特に細動脈硬化が原因となることが多いです。
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くも膜下出血:脳動脈瘤の破裂
くも膜下出血は、脳を覆うくも膜の下に出血が起こる病気です。
動脈硬化によって脳動脈瘤(血管のコブ)が形成し、その瘤が破裂した時、くも膜下出血を引き起こします。
突然の激しい頭痛が特徴です。
動脈硬化の進行と脳卒中リスクを高める要因
動脈硬化が進行した時、脳卒中のリスクは高まります。
特に以下の要因が重なるとリスクがさらに上昇します。
- 高血圧:血管壁に負担をかけ、動脈硬化を進行させます。
- 脂質異常症:LDL(悪玉)コレステロールが高いとプラークが形成されやすくなります。
- 糖尿病:高血糖は血管を傷つけ、動脈硬化を悪化させます。
- 喫煙:タバコの成分が血管を収縮させ、動脈硬化を促進します。
- 加齢:年齢とともに血管の弾力が失われ、動脈硬化が進みやすくなります。
- 運動不足:血流が悪くなり、血管の健康が損なわれます。

脳卒中予防のための具体的な対策
動脈硬化の進行を抑えることで、脳卒中の予防が可能です。
以下の対策を実践しましょう。
生活習慣の改善
- バランスの取れた食事:塩分や脂肪を控え、野菜・魚・果物を多く摂りましょう。
- 適度な運動:ウォーキングや軽いジョギングなどを習慣化しましょう。
- 禁煙・節酒:タバコをやめ、アルコールも適量に抑えましょう。
生活習慣病の管理
高血圧、脂質異常症、糖尿病を適切に管理し、血圧や血糖値をコントロールしましょう。
定期的な健康診断
血液検査や動脈硬化の検査を定期的に受け、リスクを把握しましょう。
脳ドックの活用
40歳を過ぎたら脳ドックを受け、脳血管の状態をチェックしましょう。
動脈硬化の改善に向けて
脳卒中を発症した後も適切なリハビリを行うことで動脈硬化の進行を抑え、再発を防ぐことができます。
運動療法(機能回復と再発予防)
有酸素運動(ウォーキング、サイクリングなど)で心血管機能を改善しましょう。
麻痺がある場合は、リハビリを通じて日常生活の動作を回復しましょう。
食事療法(生活習慣病の改善)
- 塩分を控える:高血圧予防のため、塩分摂取を1日6g以下にしましょう。
- コレステロールや糖分を制限する:脂質異常症や糖尿病の管理を行いましょう。
- 食物繊維を増やす:野菜や海藻を意識的に摂取しましょう。

まとめ
動脈硬化は自覚症状がないまま進行することが多いため、早期発見・早期対策が重要です。
健康的な生活習慣を維持し、定期的な健康診断を受けることで脳卒中のリスクを減らすことができます。
また、脳卒中を発症した場合でも、適切なリハビリテーションを行うことで回復と再発予防が可能です。
医師や専門家と相談しながら、できることから始めましょう。
健康な血管を維持し、脳卒中を防ぐために、日々の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
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執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。