【堺市】触っても温度が分からない?ブラウン・セカール症候群って知ってますか?

はじめに
こんにちは!
大阪府堺市中区大野芝町にある介護保険を使用しない完全自己負担型の自費リハビリで、脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・パーキンソン病・指定難病など幅広い疾患に対応しており、ロボットリハビリや型にとらわれない最先端のリハビリを受ける事が出来る「脳神経リハビリHL堺」というリハビリセンターで勤務する理学療法士です!
ある日、右足がうまく動かせない…と思ったら、左足の温かさや痛みを感じなくなっていた。
そんな不思議な感覚に襲われたとき、もしかするとそれは「ブラウン・セカール症候群」が関係しているかもしれません。
脊髄の一部が損傷することで起こるこの症状は、日常ではあまり聞き慣れない名前ですが、しっかり理解し、適切なリハビリを行えば、生活の質を取り戻すことも十分に可能です。
このブログでは、理学療法士の立場から、ブラウン・セカール症候群とは何か、どんな症状が出るのか、そしてその後のリハビリの考え方について詳しく解説していきます。
目次
- ブラウン・セカール症候群とは?
- どんな症状が出るの?
- なぜこんな症状になるの?
- 原因はさまざま
- 診断と治療はどうするの?
- リハビリでできること
- 予後(回復の見込み)はどうなの?

ブラウン・セカール症候群とは?
ブラウン・セカール症候群(Brown-Séquard syndrome)は、脊髄の左右どちらか一方だけが損傷されることによって起こる神経の障害です。
脊髄は、脳と体の各部分をつなぐ「情報の高速道路」のようなもので、運動や感覚を司るさまざまな神経が通っています。
もしその片側が傷つくと、神経の情報伝達が乱れてしまい、体の特定の部分で「動きにくい」「感じない」といった症状が現れます。
この症候群が特徴的なのは、損傷が起こった側と反対側で、異なる種類の感覚が失われるという点です。
どんな症状が出るの?
ブラウン・セカール症候群の症状は、脊髄のどちら側が損傷したかによって変わってきますが、基本的には以下のようなパターンになります。
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損傷した側(同じ側)
随意運動ができなくなる(麻痺)…脳からの「動け」という命令が、脊髄を通って筋肉に届かなくなるため、手足がうまく動かせなくなります。
深部感覚が鈍くなる…深部感覚とは、「体の位置がどうなっているか」「床に立っているか浮いているか」など、目を閉じていてもわかる感覚のこと。
これが鈍くなると、足元のふらつきやバランスの悪さを感じるようになります。
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損傷と反対側
痛みや温度が分からなくなる…熱いものや鋭いものに触れても、その感覚が分かりにくくなります。
たとえば、お風呂のお湯が熱すぎても気づかない、針で刺されても感じにくい、というような状態です。これらの症状は、体の半分ずつで異なる種類の感覚障害が現れるという特徴があります。
実際に経験するととても戸惑うことですが、これこそがブラウン・セカール症候群のサインなのです。
なぜこんな症状になるの?
それは、脊髄の中にある「神経の通り道」の構造に秘密があります。
脊髄にはいくつかの神経の流れがあり、それぞれが違う種類の情報を伝えています。
運動の指令や深部感覚の情報は、脊髄の同じ側を通って下に流れる
→ だから、脊髄の右側が損傷すれば、右側の運動や深部感覚が失われます。
温度や痛みの感覚は、脊髄の中で反対側にクロスしてから上に登る
→ つまり、脊髄の右側が損傷しても、左側の温度や痛みの感覚が伝わらなくなります。
このクロスの仕組みによって、「同じ側は動かないけど反対側の感覚がない」という複雑な症状が出るのです。

原因はさまざま
ブラウン・セカール症候群は、必ずしも外から見てわかるような大きな事故で起こるとは限りません。
主な原因には以下のようなものがあります。
- 交通事故や転倒などによる外傷
- 刃物や銃による刺創・貫通傷
- 腫瘍や脊髄の血流障害
- 椎間板ヘルニアが脊髄を圧迫
- 感染症(髄膜炎や結核など)による影響
また、時間の経過とともに症状が進行することもありますので、少しでも「何かおかしい」と感じたら、早めの受診が非常に大切です。
診断と治療はどうするの?
診断には、MRI(磁気共鳴画像)などの画像検査と、理学療法士や医師による神経学的な評価が必要です。
左右でどんな違いが出ているかを詳しく観察して、どのレベルの脊髄が障害されているのかを判断します。
治療は、原因によって異なります。
たとえば、腫瘍やヘルニアが原因であれば手術が行われることもあります。
一方、外傷や感染が原因の場合には、薬物療法や安静が選択されることもあります。
その後、多くの場合、理学療法(リハビリテーション)が必要になります。
リハビリでできること
リハビリでは、「できなくなったこと」を少しでも「できるようにする」ことが目標です。
具体的には以下のようなことを行います。
- 筋力強化:麻痺している筋肉を活性化し、動きの改善を目指します。
- バランス訓練:左右で感覚の差があると転びやすくなるため、重心の取り方を練習します。
- 日常動作訓練:歩行や食事、入浴など、実生活で必要な動きを繰り返し練習します。
- 感覚の再教育:失われた感覚に代わる感覚を頼りに動けるようにするトレーニングです。
最近では、ロボットを活用した歩行訓練やバランス訓練も広がっており、より効率的かつ安全なリハビリが行えるようになってきています。
私たち理学療法士も、利用者一人ひとりに合ったプログラムを丁寧に作成し、寄り添いながら支援していきます。
予後(回復の見込み)はどうなの?
ブラウン・セカール症候群は「不完全な脊髄損傷」に分類されるため、完全に麻痺しているケースと比べて回復の可能性は高いとされています。
早期の診断と治療を受けることで、運動や感覚の機能が大きく改善することもあります。
特にリハビリを根気よく継続すれば、日常生活に必要な動作を自立して行えるようになる方も多いです。
ただし、回復には時間がかかることが多く、数ヶ月から数年にわたってリハビリを続ける必要があります。
焦らず、できることを一歩ずつ積み重ねる姿勢がとても大切です。

まとめ
ブラウン・セカール症候群は、一見すると不思議で複雑な症状が現れます。
「片側だけが動かない」「反対側の感覚がなくなる」といった体験は、当事者にとって非常に不安なものです。
ですが、しっかりと診断を受け、原因に応じた治療とリハビリを行うことで、生活の質を取り戻すことは十分に可能です。
もし、「最近片側の足が動かしにくい」「触っても温かさを感じない」といった違和感がある方がいれば、それは身体からの大切なサインかもしれません。
ぜひ、早めの相談と対応をおすすめします。
私たち理学療法士は、皆さんが一日でも早く「自分らしい生活」に戻れるよう、心を込めてサポートしています。
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執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。