脳血管疾患における寝返りの重要性と回復への影響

はじめに
脳卒中後のリハビリにおいて、寝返りは日常生活の基本動作であり、機能回復と生活の質を高めるために非常に重要です。
今回は、寝返りの効果とリハビリテーションにおける考え方を本稿にて説明させていただきます。
目次
- 寝返りがもたらす多岐にわたる効果
- リハビリテーションにおけるアプローチ

寝返りがもたらす多岐にわたる効果
リハビリでは、寝返りを通じて体幹の安定性や四肢の動きを再学習し、次のステップである起き上がりや歩行へとつなげます。
麻痺側の筋肉を使うことで、筋肉の柔軟性や強度を向上させ、神経可塑性を促進します。
また、睡眠の質を高め、日常生活への適応を促し、患者さんの自信を高め、社会復帰への道を開きます。
基本的な動作の再学習
寝返りは、脳梗塞患者が日常生活で必要とする基本的な動作の一つです。
リハビリテーションでは、寝返りを通じて体幹の安定性や四肢の動きを再学習することが重要です。
これにより、患者は自分の身体を意識的に動かす能力を取り戻し、次のステップである起き上がりや歩行へとつなげることができます。
筋力と柔軟性の向上
寝返りを行うことで、筋肉の柔軟性や強度が向上します。
特に麻痺側の筋肉を使うことで、筋肉の緊張を和らげ、血液循環を促進します。
これにより、筋肉のこわばりを軽減し、全体的な身体機能の改善が期待されます。
神経可塑性の促進
寝返りは神経可塑性を促進する重要な要素です。
脳は新しい運動パターンを学習し、損傷を受けた部分の機能を他の部分が補うことができます。
寝返りを繰り返すことで、脳は新しい神経回路を形成し、運動機能の回復を助けます。
睡眠の質の向上
寝返りを適切に行うことで、睡眠中の体位が改善され、睡眠の質が向上します。
麻痺の影響で寝返りがうまくできないことが多く、これが睡眠の質に悪影響を及ぼすことがあります。
リハビリテーションでは、寝返りを促進することで、より良い睡眠環境を提供し心身の健康を支えることが目指されます。
日常生活への適応
寝返りを行うことで、患者は自立した生活を送るための基盤を築くことができます。
寝返りができることで、起き上がりや移動が容易になり、日常生活の活動に参加しやすくなります。
これは患者の自信を高め、社会復帰への道を開く重要なステップです。

リハビリテーションにおけるアプローチ
寝返りをしやすい環境を整え、患者さんの状態に合わせた個別のリハビリ計画を立てることが重要です。
適切な補助具の使用も推奨されます。
適切な環境の整備
寝返りをしやすい環境を整えることが重要です。
滑りにくいマットや寝返りを助けるための補助具を使用することが推奨されます。
個別のリハビリプラン
患者さんの状態に応じた個別のリハビリテーションプランを策定し、寝返り動作を含む運動を取り入れることが必要です。
これにより患者さんの能力に応じた適切なサポートが提供されます。
身体の動作プログラムの再活性化
寝返りを行うことは、脳内に存在する運動プログラムを再活性化する手段となります。
特にボイタ法などのアプローチでは、寝返りを通じて正常な運動発達を促進し、反射的な動作を引き出すことが目指されています。
これにより、脳卒中後に失われた運動機能が徐々に回復する可能性があります。

まとめ
寝返りは、脳梗塞後のリハビリにおいて身体機能と心理面の回復に不可欠な要素です。
適切なリハビリ計画と環境整備により、自立した生活を取り戻すことができます。
ご質問等ありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい!
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執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。