脳血管疾患における「一過性脳虚血発作」とは?

目次
- 一過性脳虚血発作(TIA)とは
- TIAの重要性:脳卒中の警告サイン
- TIAの症状:多岐にわたる神経症状
- TIAの診断:迅速かつ正確な診断が重要
- TIAの治療:脳卒中予防が最大の目的
- TIAの予防:生活習慣の改善が鍵
- 生活習慣の改善とTIA予防:具体的な取り組み
- 健康的な食事
- 運動とTIA予防:具体的な運動の種類
一過性脳虚血発作(TIA)とは
一過性脳虚血発作(TIA)は、脳、脊髄、または網膜への血流が一時的に不足することで起こる一時的な神経機能障害です。症状は、数分から24時間以内に完全に回復し、永続的な神経学的障害(脳梗塞)を残しません。しかし、TIAは脳卒中の強力な予測因子であり、TIAを経験した人は特に発症後数日から数ヶ月の間に脳卒中を発症するリスクが非常に高くなります。

TIAの重要性:脳卒中の警告サイン
TIAは、脳卒中を未然に防ぐための重要な警告サインです。TIAを経験した人の約10〜15%が3ヶ月以内に脳卒中を発症すると言われています。特に、最初の48時間は脳卒中リスクが最も高い時期であり適切な対応が必要です。TIAを経験した場合は、決して自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが重要です。
TIAの症状:多岐にわたる神経症状
TIAの症状は、脳のどの部分に血流が不足するかによって異なります。一般的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 運動機能障害:片側の手足の麻痺や脱力、歩行困難
- 感覚障害:片側の手足の感覚鈍麻や痺れ
- 言語障害:ろれつが回らない、言葉が出てこない、相手の言葉が理解できない
- 視覚障害:片目または両目の視力低下、視野の一部が欠ける
- その他の症状:めまい、ふらつき、意識障害
これらの症状は、一時的に現れて消えることが特徴です。しかし、症状が一時的なものであっても、TIAの可能性を疑い速やかに医療機関を受診することが重要です。

TIAの診断:迅速かつ正確な診断が重要
TIAの診断には、以下の検査が行われます。
- 神経学的検査:医師が患者の神経機能を評価し、症状の原因を特定します。
- 画像検査:CTスキャンやMRI検査を行い脳の状態を詳しく調べます。特に、MRI検査はTIAの診断に有用です。
- 血管造影検査:脳の血管の状態を調べる検査です。
- 心臓検査:心電図検査や心エコー検査を行い、心臓疾患の有無を調べます。
これらの検査を迅速に行い、正確な診断を下すことが適切な治療につながります。
TIAの治療:脳卒中予防が最大の目的
TIAの治療は、脳卒中を予防することを目的として行われます。主な治療法としては以下のものがあります。
- 抗血小板療法:アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬を使用し、血液が固まるのを防ぎます。
- 抗凝固療法:ワーファリンやダビガトランなどの抗凝固薬を使用し、血液が固まるのを防ぎます。主に、心房細動などの心疾患がある患者さんに用いられます。
- 血管内治療:頚動脈狭窄がある場合、カテーテルを用いて血管を広げる治療法です。
- 生活習慣の改善:高血圧、糖尿病、高コレステロールなどの危険因子を管理し、健康的な生活習慣を維持することが重要です。
これらの治療法を患者さんの状態に合わせて適切に選択し組み合わせることが重要です。
TIAの予防:生活習慣の改善が鍵
TIAを予防するためには、以下の点に注意することが重要です。
- 危険因子の管理:高血圧、糖尿病、高コレステロールなどの危険因子を適切に管理しましょう。
- 生活習慣の改善:バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒などの健康的な生活習慣を心がけましょう。
- 定期的な健康診断:定期的に健康診断を受け、自身の健康状態を把握しましょう。
これらの予防策を実践することで、TIAのリスクを大幅に減らすことができます。

生活習慣の改善とTIA予防:具体的な取り組み
TIAの予防において、生活習慣の改善は非常に重要な役割を果たします。具体的な取り組みとしては以下の点が挙げられます。
健康的な食事
- 栄養バランス:果物や野菜、全粒穀物、魚、ナッツなどを多く含む食事を心がけ、バランスの取れた食事を摂りましょう。
- オメガ3脂肪酸:青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は、心血管の健康を促進しTIAの再発リスクを低下させる可能性があります。
- 塩分制限:塩分の過剰摂取は高血圧につながるため、塩分摂取量を控えめにするように心がけましょう。
身体活動の増加
- 運動の重要性:定期的な身体活動は、心血管の健康を維持しTIAのリスクを低下させるために不可欠です。
- 日常生活への活動の組み込み: 散歩や軽い運動などの日常生活における身体活動を増やすように心がけましょう。
禁煙とアルコール制限
- 禁煙: 喫煙はTIAや脳卒中のリスクを大幅に増加させるため、禁煙は非常に重要です。
- アルコールの摂取制限: 過剰なアルコール摂取はリスクを高めるため、適量を守るようにしましょう。
ストレス管理
- ストレスの影響:ストレスは心血管疾患のリスクを高める要因の一つです。
- リラクゼーション:趣味や運動などの自分に合った方法でストレスを解消するように心がけましょう。
定期的な健康診断
- リスク因子の早期発見:定期的な健康診断を受けることで、高血圧や糖尿病、高コレステロールなどのリスク因子を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。
運動とTIA予防:具体的な運動の種類
定期的な運動は、TIAの再発リスクに対して非常に重要な影響を与えることが示されています。推奨される運動の種類としては以下のものがあります。
- 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリング、水泳など
- 筋力トレーニング:レジスタンス運動、高強度インターバルトレーニング(HIIT)
- 柔軟体操やバランス運動:ヨガやピラティスなど
これらの運動を、ご自身の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲で継続することが重要です。
まとめ
TIAは、脳卒中の重要な警告サインです。TIAを経験した場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。また、日頃から健康的な生活習慣を心がけ、脳卒中を予防することが大切です。生活習慣の改善、定期的な運動、ストレス管理、定期的な健康診断など、包括的なアプローチでTIAの予防に取り組むことが重要です。もし、この記事で紹介したような症状が現れた場合は、決して自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。

執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。