脳梗塞後遺症の治し方

はじめに
脳梗塞は誰にでも起こりうる病気です。
「まさか自分が…」
「突然のことで、これからどうしたらいいか分からない…」
そんな風に思っている方もいるかもしれません。
でもご安心ください。
脳梗塞は決して「治らない病気」ではありません。
適切な治療とリハビリテーションを行うことで後遺症からの回復を大きく期待できます。

目次
- 脳梗塞後遺症はどんな症状が現れるのか?
- 脳梗塞の治療法はどんなものがあるのか?
- リハビリテーションはなぜ大切なのか?
- 退院後のリハビリテーションはどうすればいいのか?
- 自費リハビリテーションは、どんなメリットがあるのか?
脳梗塞後遺症はどんな症状が現れるのか?
脳梗塞の後遺症はダメージを受けた脳の部位や程度によって現れる症状が異なります。
- 運動障害:片麻痺(半身の麻痺)、筋力低下、歩行障害、手指の巧緻運動障害など
- 感覚障害:感覚麻痺、しびれ、痛み、温度感覚の異常など
- 言語障害:失語症(言葉の理解や発話の障害)、構音障害(発音の障害)など
- 高次脳機能障害:注意障害、記憶障害、遂行機能障害(計画や判断の障害)、失認(特定の物を認識できない)、失行(意図した動作ができない)など
- 視覚障害:視野狭窄(視野が狭くなる)、複視(物が二重に見える)、半盲(片方の視野が見えなくなる)など
- 嚥下障害:食べ物を飲み込みにくくなる
- 排尿・排便障害:尿失禁、便秘など
- 精神症状:うつ病、不安障害、意欲低下など
これらの症状は日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
しかし、適切なリハビリテーションを行うことで症状の改善や代償手段の獲得が可能です。
脳梗塞の治療法はどんなものがあるのか?
脳梗塞の治療法は日々進歩しています。
急性期治療
t-PA療法(血栓溶解療法)
発症後4.5時間以内に投与することで、血栓を溶かし血流を再開させる治療法です。
脳梗塞の重症化を防ぐために最も重要な治療法の一つです。
脳血管内治療(血栓回収療法)
カテーテルを用いて、血栓を直接回収する治療法です。
t-PA療法が適応とならない場合、また効果的な血流再開が期待できる場合に選択されます。
薬物療法
抗血小板薬や抗凝固薬を用いて血栓の形成を抑制し、再発予防を行います。
脳保護薬を用いて脳細胞の保護を図る治療法も研究されています。
回復期・慢性期治療
再生医療
損傷した脳組織の修復を促す再生医療は、神経幹細胞移植などが研究されています。
まだ研究段階ではありますが、今後の発展が期待される治療法です。
薬物療法
神経細胞の活性化や保護作用を持つ薬物療法は、症状の改善に役立つ可能性があります。
漢方薬や鍼治療などの伝統医学的なアプローチも症状緩和に用いられることがあります。
リハビリテーション
脳梗塞後の機能回復に不可欠な治療法です。
理学療法、作業療法、言語療法などの様々なリハビリテーションがあります。
近年では、自費リハビリやロボットリハビリといった選択肢も登場しています。
外科的治療(減圧術)
脳の腫れを軽減するために、頭蓋骨の一部を切除する手術です。
脳梗塞の重症化を防ぐために行われることがあります。
外科的治療(バイパス手術)
脳の血流を改善するために、血管を繋ぎ替える手術です。
脳梗塞の再発予防に有効な場合があります。
これらの治療法と並行して、リハビリテーションを行うことがより効果的な回復に繋がります。

リハビリテーションはなぜ大切なのか?
脳梗塞後のリハビリテーションは機能回復に不可欠です。
理学療法
運動機能の回復を専門家がサポートします。
筋力トレーニング、関節可動域訓練、歩行訓練などを行います。
作業療法
日常生活動作の再獲得を支援します。
食事、着替え、入浴などの練習、自助具の活用指導などを行います。
言語療法
コミュニケーション能力の向上を目指します。
失語症、構音障害に対する訓練、コミュニケーション手段の提案などを行います。
これらのリハビリテーションを根気強く続けることが後遺症からの回復に繋がります。
退院後のリハビリテーションはどうすればいいのか?
退院後もリハビリテーションを継続することが重要です。
- 回復した機能の維持・向上:せっかく回復した機能をさらに伸ばしましょう。
- 新たな問題への対応:退院後の生活で困ったことがあれば専門家に相談しましょう。
- 生活の質の向上: リハビリを通して自分らしい生活を取り戻しましょう。
自費リハビリテーションは、どんなメリットがあるのか?
自費リハビリテーションは、保険診療のリハビリテーションに加えてより専門的で集中的なリハビリテーションを受けたい方におすすめです。
- より専門的なリハビリ:専門性の高いセラピストによるマンツーマン指導を受けることができます。
- 個別化されたプログラム:患者様の状態やニーズに合わせたオーダーメイドのプログラムでリハビリを行うことができます。
- 長期的なサポート: 保険診療の期間を超えて長期的なサポートを受けることができます。

まとめ
この資料では脳梗塞の後遺症、治療法、リハビリテーションの重要性について解説しました。脳梗塞後遺症は多岐にわたりますが、適切な治療とリハビリテーションを行うことで回復が期待できます。治療法としては、急性期のt-PA療法や脳血管内治療、回復期・慢性期の再生医療や薬物療法、外科的治療などがあります。リハビリテーションは、理学療法、作業療法、言語療法などがあり退院後も継続することが重要です。自費リハビリテーションは、より専門的で集中的なリハビリテーションを受けたい方におすすめです。脳梗塞後のリハビリは困難な道のりですが、諦めずに続けることで必ず未来を拓くことができます。
脳梗塞後のリハビリは、決して簡単な道のりではありません。
しかし、諦めずに続ければ必ず道は開けます。
私たちは全力であなたをサポートします!
一緒に未来に向かって歩んでいきましょう!

執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。