脳卒中の症状とその後の対策
はじめに
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる病気です。
突然半身が麻痺したり、言葉が出にくくなったり、呂律が回らなくなったりといった症状が現れます。
これらの症状は脳のどの部分が損傷したかによって異なります。
脳卒中は、早期の治療とリハビリが非常に重要です。
この記事では、脳卒中の症状とその後のリハビリテーションについて、理学療法士の視点から詳しく解説します。
目次
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脳卒中とは?
1-1.脳卒中の種類
1-2.脳卒中の原因
1-3.脳卒中の症状 -
脳卒中後のリハビリテーション
2-1.リハビリテーションの目的
2-2.リハビリテーションの種類
2-3.リハビリテーションの重要性 -
脳卒中後の生活
3-1.日常生活の工夫
3-2.脳卒中を予防するために - まとめ
脳卒中とは?
1-1.脳卒中の種類
脳卒中とは、脳の血管が詰まる(脳梗塞)か破れて出血する(脳出血、くも膜下出血)ことで脳の神経細胞が損傷し、様々な神経症状を引き起こす病気です。
脳卒中は大きく分けて3つの種類があります。
脳梗塞: 脳の血管が詰まり、その先の脳組織が酸素や栄養不足になり、壊死してしまう状態です。脳卒中の約8割を占めます。
脳出血: 脳の血管が破れて出血し、脳組織が圧迫される状態です。高血圧が主な原因です。
くも膜下出血: 脳の表面を覆っているくも膜の下で出血が起こる状態です。脳動脈瘤が破裂することが主な原因です。
1-2.脳卒中の原因
脳卒中の原因は多岐にわたりますが、主なものとして以下が挙げられます。
高血圧: 血圧が高い状態が続くと、血管が傷つきやすくなり、脳卒中のリスクが高まります。
動脈硬化: 血管の内壁にコレステロールなどが蓄積し、血管が硬くなり狭くなる病気です。
心房細動: 心臓が不規則に拍動する状態です。心臓から血栓が飛んで脳の血管を詰まらせることがあります。
糖尿病: 血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つきやすくなり、脳卒中のリスクが高まります。
高脂血症: 血中の脂質(コレステロールなど)が多い状態です。動脈硬化を促進し、脳卒中のリスクを高めます。
喫煙: 喫煙は、血管を収縮させ、血圧を上昇させるため、脳卒中のリスクを高めます。
飲酒: 過度の飲酒は、高血圧、不整脈、肝機能障害などを引き起こし、脳卒中のリスクを高めます。
肥満: 肥満は、高血圧、糖尿病、高脂血症などのリスクを高め、間接的に脳卒中のリスクを高めます。
運動不足: 運動不足は、高血圧、糖尿病、高脂血症のリスクを高めます。
1-3.脳卒中の症状
脳卒中の症状は、脳のどの部分が損傷したかによって異なりますが、一般的に以下の症状が見られます。
半身麻痺: 体の半分が麻痺し、力が入らなくなります。
感覚障害: 麻痺した側の感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりします。
言語障害: 話すことや理解することが難しくなります。
視覚障害: 片方の視野が狭くなったり、物が二重に見えたりします。
嚥下障害: 飲み込むことが難しくなります。
意識障害: 意識が混濁したり、昏睡状態になることもあります。
平衡感覚障害: めまいを感じたり、ふらふらしたりします。
脳卒中後のリハビリテーション
2-1.リハビリテーションの目的
脳卒中を患うと、日常生活を送る上で様々な困難が生じます。
リハビリテーションは、これらの困難を克服し、残された機能を最大限に活用して、できるだけ自立した生活を送れるようにするための治療です。
脳卒中後のリハビリテーションの目的は、大きく分けて以下の3つがあります。
失われた機能の回復: 麻痺した手足を動かす、言葉を発するなど、失われた機能を回復させることを目指します。
残存機能の最大限活用: まだ使える機能を最大限に活用し、日常生活動作を改善することを目指します。
社会復帰: 家庭や地域社会へ復帰し、自立した生活を送れるようにすることを目指します。
2-2.リハビリテーションの種類
脳卒中後のリハビリテーションには、様々な種類があります。
理学療法: 運動機能の回復を目的とし、歩行訓練、バランス訓練、関節の可動域訓練などを行います。
作業療法: 日常生活動作の回復を目的とし、食事、着替え、入浴などの訓練を行います。
言語療法: 言語機能の回復を目的とし、発音練習、会話練習などを行います。
嚥下療法: 嚥下機能の回復を目的とし、飲み込むための訓練を行います。
認知機能療法: 記憶力や判断力などの認知機能の回復を目的とし、様々な課題に取り組む訓練を行います。
2-3.リハビリテーションの重要性
リハビリテーションは、脳卒中からの回復に不可欠です。
早期から継続的なリハビリテーションを行うことで、機能回復が期待でき、生活の質の向上にもつながります。
脳卒中後の生活
3-1.日常生活の工夫
脳卒中を経験された方は、日常生活に様々な工夫が必要になります。
手すりの設置: 転倒防止のために、トイレや浴室などに手すりを設置します。
家具の配置: 移動の際にぶつからないように、家具の配置を工夫します。
滑り止めマット: 浴室や廊下などに滑り止めマットを敷き、転倒を予防します。
車いすの利用: 歩行が困難な場合は、車いすを利用します。
自助具の利用: 食事や着替えなどを補助する自助具を利用します。
3-2.脳卒中を予防するために
脳卒中は、生活習慣病が深く関わっています。
脳卒中を予防するためには、以下の点に注意することが大切です。
血圧管理: 定期的に血圧を測り、高血圧の場合は治療を受けましょう。
血糖管理: 糖尿病の方は、血糖値をコントロールしましょう。
脂質管理: 高脂血症の方は、コレステロール値をコントロールしましょう。
禁煙: 喫煙は、様々な病気のリスクを高めますので、禁煙しましょう。
節酒: 過度の飲酒は、高血圧や不整脈の原因となりますので、節酒しましょう。
バランスの取れた食事: 野菜、果物、魚などをバランス良く食べましょう。
適度な運動: 定期的に運動を行いましょう。
ストレス管理: ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作りましょう。
まとめ
脳卒中は、早期の治療とリハビリテーションが非常に重要です。
脳卒中を経験された方は、医師や理学療法士などの専門家の指導のもと積極的にリハビリテーションに取り組みできる限り自立した生活を目指しましょう。
また、脳卒中を予防するためには、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
執筆者:安原
施設長/理学療法士
施設長の安原です。
2019年に理学療法士免許を取得し大学卒業後、回復期病院と訪問リハビリで整形疾患や脳血管疾患を中心に経験し現在に至ります。
回復期病院では疾患の知識、治療技術の勉強(SJF、PNF、筋膜etc)に励み、チームリーダーや副主任を経験。
訪問リハビリでは在宅での日常生活動作を中心に介入しする。
一人ひとりの回復に対して集中して介入したいと思い、2023年9月から脳神経リハビリHL堺に勤務。
希望や悩みに対して寄り添い、目標とするゴールに向けて一緒に歩んでいければと思っています。