脳卒中から身を守る! 予防・症状・治療までを徹底解説
はじめに
脳卒中 予防|理学療法士が解説!症状・治療法も徹底解説!
脳卒中を予防し、健康な毎日を送りたいと思いませんか?
この記事では、理学療法士が、脳卒中の原因、症状、治療法をわかりやすく解説します。
さらに、日々の生活でできる予防策もご紹介します。
脳卒中に関する疑問を解消し、あなたも今日から脳卒中予防を始めませんか?
目次
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脳卒中とは何か
1-1脳卒中の基本概念
1-2脳卒中の影響
1-3社会への影響 -
脳卒中の種類と原因
2-1脳卒中の種類
2-2脳卒中の原因 -
脳卒中の症状と危険信号
3-1主な症状
3-2脳卒中を確かめる「FAST」方法
3-3危険信号への注意 -
脳卒中の予防と早期発見の重要性
4-1生活習慣の見直し
4-2定期的な健康診断
4-3脳ドックの活用
4-4早期発見のための知識と行動
4-5心の健康も大切に -
脳卒中の治療と回復プロセス
5-1脳卒中の初期治療
5-2回復プロセス
5-3定期的なフォローアップ
5-4患者と家族の役割 - まとめ
脳卒中とは何か
1-1脳卒中の基本概念
脳卒中は、脳内の血管に異常が生じることで、脳への血流が途絶え、脳神経細胞が損傷を受ける疾患の一群を指します。
近年、脳卒中は新たな健康問題として注目され、理解が進んでいます。
発症は突然であることが多く、緊急の対応が求められます。
脳卒中はその名の通り、突然に発生することが特徴です。
代表的なタイプとしては、以下の三つが挙げられます。
- 脳梗塞:血流が遮断され、脳へ酸素や栄養分が供給されなくなる状況。
- 脳出血:脳内の血管が破れて出血が生じ、脳組織に損害を与える。
- くも膜下出血:脳動脈瘤が破裂することで、くも膜下に出血が起こる場合。
1-2脳卒中の影響
脳卒中発症後は、身体機能や言語能力が影響を受けることがあります。
例えば、一側の麻痺や意識喪失などが見られ、場合によっては長期的な後遺症が残ることもあります。
さらに、脳卒中は日本での死亡原因の一つであり、その理解が重要です。
1-3社会への影響
最近では、脳卒中が要介護のリスクを高めることが懸念されており、特に高齢化が進む社会では重要な問題となっています。
脳卒中が人々や医療システムに与える影響を考慮すると、予防策や早期発見の重要性がますます高まります。
このように、脳卒中は個人の健康だけでなく、社会全体の持続可能性にも関わる重大な問題です。
この病気の理解と予防を深めることは、全ての人々にとって重要な課題と言えるでしょう。
脳卒中の種類と原因
2-1脳卒中の主要な種類
脳卒中は、脳内の血管が異常をきたすことにより引き起こされる深刻な疾患です。
主に動脈硬化や血栓の形成が原因として挙げられます。
脳卒中は大きく以下の3つのカテゴリーに分類されます。
脳梗塞は、脳への血流が阻害されることにより、脳細胞が酸素不足に陥り、障害を受ける状態です。
脳梗塞にはアテローム血栓症梗塞、ラクナ梗塞、心源性脳塞栓症の3種類があります。
- アテローム血栓症梗塞: 動脈の内壁にコレステロールが蓄積し、血栓を形成して血流を妨げます。
- ラクナ梗塞: 脳内の細い血管が動脈硬化の影響で詰まり、発生します。
- 心源性脳塞栓症: 心臓内の血栓が血液循環により脳の血管を塞ぐ現象です。
脳出血は、脳の血管が破裂して血液が脳の組織に漏れ込み、神経細胞を損傷する事態を指します。
高血圧や血管の老化が主な原因であり、特に身体活動中に突然発症することがよく見られます。
くも膜下出血は、脳を包む膜の間にある動脈瘤が破裂し、血液が注入されることによって脳が圧迫される状態です。
このタイプの脳卒中は、激しい頭痛や吐き気、意識混乱などの症状が伴うことがあります。
2-2脳卒中の原因
脳卒中を引き起こすにはいくつかのリスク要因が存在しています。
以下に主な原因を示します。
高血圧
高血圧は脳卒中の重要な要因であり、血管にかかる圧力が高まることから動脈硬化を促進します。
高脂血症
血中の脂質が増加することで血管閉塞のリスクが高まり、脳梗塞を引き起こす可能性が増します。
糖尿病
糖尿病は血管の柔軟性を低下させ、血栓形成を促進する要因となります。
喫煙
タバコの有害物質が動脈硬化を進行させ、血管の収縮を誘発するため、脳卒中のリスクが高まります。
加齢
年齢と共に血管が劣化し、動脈硬化が進行することで脳卒中のリスクが増すため、注意が必要です。
これらのリスク要因を理解し、日常生活において注意を払うことで脳卒中の予防が可能です。
生活習慣病との関係を意識し、脳の健康を守ることがますます重要になっています。
脳卒中の症状と危険信号
3-1主な症状
脳卒中は突発的に発生する深刻な病状であり、発症した際には迅速な対応が不可欠です。
脳卒中に伴う症状は多岐にわたりますが、特に以下の症状がよく見られます。
麻痺やしびれ
主に体の片側に麻痺やしびれを感じることが一般的です。
特定の部位のみならず、全身的に影響が出ることもあります。
言語障害
言葉のどもりや発音の乱れが見られることがあります。
また、話をすることや相手の言うことを理解する能力にも障害が生じることがあり、コミュニケーションに困難をきたすことがあります。
視覚的な異常
視野の欠損
脳卒中は視力にも影響を及ぼすことがあり、突然片側の視界が失われたり、物が二重に見えることが起こります。
また、視界の片側が認識できないといった視野欠損が起こることもあります。
バランスの障害
突然のふらつき
普段は力が入るにもかかわらず、急に立ったり歩いたりできなくなることがあります。
このため、体のバランスを崩し、不安定な状態になってしまうことがよく見られます。
激しい頭痛
通常とは異なる激しい頭痛が襲ってくることがあります。
この頭痛は、通常の緊張型頭痛や片頭痛とは異なり、特に注意が必要です。
3-2脳卒中を確かめる「FAST」方法
脳卒中のリスクが疑われる場合、以下の「FAST」のチェック項目を用いて速やかに確認することが重要です。
F (Face): 顔にゆがみが見られますか?
A (Arm): 片方の腕に麻痺が見られますか?
S (Speech): 言葉がうまく出ない、または理解できない状態ですか?
これらのいずれかに該当する場合は、即座に医療機関を受診することが極めて重要です。
3-3危険信号への注意
脳卒中が発症した際には、これらの症状が突然現れることがほとんどですが、前兆として軽度の症状が出ることもあります。
特に頭痛やめまい、舌のもつれなどの初期症状がある場合は、早期の診断と治療が不可欠です。
これらのサインを見逃さず、少しでも気になる症状があれば、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。
脳卒中の早期発見と適切な治療が、後遺症を防ぐ鍵となります。
脳卒中の予防と早期発見の重要性
4-1生活習慣の見直し
脳卒中は突如として発生し、極めて深刻な後遺症をもたらす可能性がある病気です。
そのため、予防と早期発見が極めて重要です。
脳卒中の主な原因の一つは動脈硬化です。
これを防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。
特に以下の点に注意しましょう
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塩分の摂取を控える:高血圧を招き、脳卒中のリスクを高めます。
食事では調味料を工夫し、少しずつ塩分を減らす方法が効果的です。 -
バランスの取れた食事:果物や野菜を多く摂取し、脂肪分の多い食品を制限することが大切です。
特に悪玉コレステロールを減らす食材を意識的に取り入れましょう。 - 禁煙:喫煙は血管に悪影響を与え、動脈硬化を促進します。禁煙を決意し、サポートを受けることが重要です。
4-2定期的な健康診断
自分の健康状態を正確に把握するためには、定期的な健康診断が不可欠です。
特に、以下の検査に注目しましょう
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血圧測定:高血圧は脳卒中の主要なリスク因子です。
特に30代からは定期的に血圧を測定し、140/90mmHg未満を維持する努力をしましょう。 - 血液検査:糖尿病や脂質異常症の有無を確認し、異常があれば早急に対策を講じることが大切です。
4-3脳ドックの活用
脳ドックは、脳の健康状態を評価する専門的な検査です。
30代以降は、脳卒中のリスクを減らすために、定期的に脳ドックを受診することをお勧めします。
特に以下のポイントに留意しましょう
- 動脈瘤検査:脳の血管にできる動脈瘤は、特に危険です。早期発見することで、破裂を防ぎ、脳卒中のリスクを大幅に減少させることができます。
- リスク評価:家族に脳卒中の既往歴がある場合は、特に注意が必要です。早期に検査を受けることが重要です。
4-4早期発見のための知識と行動
脳卒中の症状を早期に認識するためには、FASTというシステムを覚えておくと良いでしょう。
具体的には以下のような兆候に注意しましょう
F(顔の歪み):片側の顔が麻痺し、笑えない。
A(腕の麻痺):片方の腕を上げることができない。
S(言語障害):言葉がうまく話せない、または理解できない。
T(時間):これらの症状が見られたら、ただちに医療機関に連絡しましょう。
症状に気付いたら、時間を無駄にせずに行動することが何よりも重要です。
早ければ早いほど、後遺症のリスクを大幅に減少させることができます。
4-5心の健康も大切に
ストレスや精神的な負担は、脳卒中の間接的なリスク要因にもなります。
自分自身のメンタルケアを怠らず、リラックスする時間を確保する努力も大切です。
趣味を持つことや、リフレッシュの時間を設けることが、健康維持に寄与します。
このように、脳卒中は予防可能な病気です。
生活習慣を見直し、健康診断を受けること、そして脳卒中に関する知識を深めることで、私たちは自身や周囲の人々を守ることができます。
脳卒中の治療と回復プロセス
5-1脳卒中の初期治療
脳卒中は、発症からの時間が直接的に治療結果に影響を与えるため、迅速な対応が求められます。
脳卒中の初期治療は、主に以下の3つの方法に分けられます。
抗血栓薬の投与
発症から4.5時間以内にt-PAという薬剤を点滴します。
この薬は血栓を溶かし、脳への血流を再開させることが目的です。
早期の治療が行われた場合、回復率が大きく向上します。
血管内治療
血栓が詰まっている血管にカテーテルを用いて介入し、物理的に血栓を取り除く治療です。
特に大きな血管が詰まった場合に効果的で、発症から24時間以内に行うことが望ましいとされています。
他の薬剤治療
脳保護薬や抗脳浮腫薬も重要です。これらは脳の炎症を抑える、または脳のむくみを軽減するために使用され、合併症を防ぐ役割があります。
5-2回復プロセス
治療が行われた後、患者の回復は個々の状況により異なりますが、以下のようなステップが一般的です。
リハビリテーションの重要性
治療後はリハビリが必須です。
リハビリテーションは、運動機能を取り戻すだけでなく、日常生活での自立を促すためにも非常に重要です。
理学療法士や作業療法士によるサポートを受けることで、患者の機能的な回復が期待できます。
精神面への配慮
脳卒中は身体的な障害に加えて、精神面にも影響を与えることがあります。
患者が持つ不安やうつ症状への配慮も必要であり、心理的サポートが回復の鍵とされています。
5-3定期的なフォローアップ
回復が進む中で、定期的に医療機関でのチェックを受けることが重要です。
これにより、再発のリスクを減少させるとともに、必要に応じて治療法を調整することができます。
家庭でのケアや生活習慣についてのアドバイスも、医療チームから受けることが可能です。
5-4患者と家族の役割
患者だけでなく、その家族も治療と回復プロセスにおいて重要な役割を担っています。
家族がサポートを行うことで、患者の精神的な安定を助け、生活全般での取組みが円滑に進むことが期待されます。
また、家族が脳卒中について理解し、適切な情報を持つことも回復を促進する要素となります。
まとめ
脳卒中は個人の健康だけでなく、社会全体に大きな影響を及ぼす重要な問題です。
予防と早期発見、そして適切な治療と回復プロセスの理解は、一人一人に求められています。
生活習慣の改善、定期的な健康診断、そして家族のサポートが重要です。
一人一人が自身の健康に意識を向上させ、周りの人々も含めて脳卒中予防に取り組むことで、誰もが健康で安心して暮らせる社会の実現につながるでしょう。
執筆者:安原
施設長/理学療法士
施設長の安原です。
2019年に理学療法士免許を取得し大学卒業後、回復期病院と訪問リハビリで整形疾患や脳血管疾患を中心に経験し現在に至ります。
回復期病院では疾患の知識、治療技術の勉強(SJF、PNF、筋膜etc)に励み、チームリーダーや副主任を経験。
訪問リハビリでは在宅での日常生活動作を中心に介入しする。
一人ひとりの回復に対して集中して介入したいと思い、2023年9月から脳神経リハビリHL堺に勤務。
希望や悩みに対して寄り添い、目標とするゴールに向けて一緒に歩んでいければと思っています。