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浮腫(むくみ)とは?

浮腫(むくみ)とは?

はじめに

病院を退院したあと、自宅でリハビリに励もうとする方にとって、「体の変化」には敏感になっておくことが大切です。
その中でも、特に注意していただきたいのが「浮腫(むくみ)」です。
この記事では、浮腫の原因やメカニズム、症状、予防方法について、医療的な知見と生活に役立つ実践的な対策の両面から詳しく解説していきます。

目次

  • 浮腫(むくみ)とはどんな状態?
  • なぜ浮腫が起きるのか?主な原因を知ろう
  • 浮腫のメカニズムを簡単に理解する
  • 浮腫があるときのサインに気づこう
  • 浮腫の改善に役立つ治療とケア
  • 浮腫を予防するための生活習慣6つのポイント

浮腫(むくみ)とはどんな状態?

浮腫とは、体の中に余分な水分が溜まり、皮膚の下にたまってしまうことで起こる腫れのことです。
むくみという言葉の方が馴染みがあるかもしれません。
これは一時的なこともあれば、病気に伴って慢性的に現れる場合もあります。
多くは足や手、顔などに出やすく、特に足首やふくらはぎのむくみに気づきやすいでしょう。

なぜ浮腫が起きるのか?主な原因を知ろう

浮腫が起こる原因はさまざまですが、大きく分けると以下のような背景が考えられます。

まず、心臓の働きが弱くなる「心不全」では、血液を体に送る力が落ち、体の末端に水分が溜まりやすくなります。
次に、腎臓の働きが悪くなる「腎疾患」では、水分や塩分の調節がうまくいかず、体内に余分な水分が残ってしまいます。

また、「肝疾患」では、血液中のたんぱく質(アルブミン)が減ってしまい、血管内に水分をとどめておく力が落ちることで浮腫が起きることもあります。

そして、見逃せないのが生活習慣です。
長時間同じ姿勢でいたり、塩分の多い食事を摂ったり、運動不足だったりすると血流やリンパの流れが滞りむくみやすくなります。

浮腫のメカニズムを簡単に理解する

通常、心臓から送り出された血液は動脈を通って全身の組織に酸素や栄養を届けた後、静脈やリンパ管を通じて戻ってきます。
しかし、血流やリンパの流れが滞ると、この「戻る」働きが弱まり、水分が組織の中にしみ出して皮膚の下にたまってしまうのです。
これが浮腫の正体です。

この仕組みは、長時間の座りっぱなしや寝たきりの状態でも起こることがあるため、退院後のリハビリ生活では特に注意が必要です。

浮腫があるときのサインに気づこう

浮腫のサインは見た目や感覚で気づくことができます。
例えば、足や手が以前よりも大きく腫れていたり、皮膚が張ってツヤが出ていたりします。
また、指で押すとへこみが残る(圧痕性浮腫)こともあります。

さらに、重だるさや痛みを感じる場合もあり、日常生活に支障が出ることもあるため、早めの対処が必要です。

浮腫の改善に役立つ治療とケア

浮腫の治療は、その原因に応じて変わりますが、自宅でできるケアも多くあります。

まず、塩分を控えたり、適度に体を動かしたりといった生活習慣の見直しが基本です。
特にリハビリ中の方は、毎日の運動やストレッチを通して血流やリンパの流れを促進することが大切です。

また、むくんでいる部位を心臓よりも高く保つようにすると、水分が戻りやすくなり、腫れの軽減に役立ちます。
医師による診察が必要な場合もあるので、症状が続くときや悪化するようであれば、迷わず医療機関を受診しましょう。

浮腫を予防するための生活習慣6つのポイント

浮腫を防ぐには、日々のちょっとした工夫がとても効果的です。
以下の6つのポイントを習慣にしてみましょう。

  • 1. 適度な運動を続ける
    血流やリンパの流れを良くするには、日常の中でこまめに体を動かすことが重要です。
    ウォーキングや軽いストレッチ、階段の上り下りでも十分効果があります。
    長時間座っている方は、1時間に1回は立ち上がって動くことを心がけましょう。
  • 2. 塩分の摂取を控える
    塩分を多く摂ると、体内のナトリウム濃度が高まり、それに伴って水分も保持されやすくなります。
    味付けを工夫したり、加工食品を減らしたりして、減塩を意識しましょう。
  • 3. 十分かつ適切な水分補給
    「水分を控えればむくまない」と思いがちですが、実は逆効果です。
    水分が不足すると、体は水を溜め込もうとします。
    こまめな水分補給を意識しましょう。
    バナナやアボカド、海藻類などのカリウムを含む食品を摂ると余分な水分の排出がスムーズになります。
  • 4. 足を高くして休む
    寝るときや座っているときに、足を心臓より高い位置に置くと、静脈の流れが促進され、むくみが軽減されます。
    クッションや枕を活用してみましょう。
  • 5. 体を温めて血行を良くする
    冷えはむくみの大敵です。
    お風呂や足湯で体を温めること、また生姜やシソといった体を温める食材を取り入れるのもおすすめです。
  • 6. マッサージやストレッチを習慣に
    特にふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、全身の血流に影響します。
    優しくマッサージしたり、日々のストレッチを取り入れて筋肉をやわらかく保ちましょう。

まとめ

浮腫(むくみ)は、体内の水分バランスが崩れた結果として現れる大切なサインです。
特に退院直後や運動量が限られるリハビリ期には起こりやすくなります。
今回紹介した内容をもとに、日常生活の中でできることから少しずつ実践してみてください。

適切な運動とケア、そして体の変化に気づく意識を持つことで、リハビリの効果もより高まり、快適な生活へとつながっていきます。
自分の体をよく知り、大切にしながら、焦らず一歩ずつ前に進んでいきましょう。

池田

執筆者:池田

理学療法士

理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。