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パーキンソン病の進行と予後

パーキンソン病の進行と予後

はじめに

パーキンソン病と診断されて、これからどうすればいいのか、不安な気持ちを抱えている方も多いのではないでしょうか?
この病気は進行性ですが、適切な治療とリハビリテーションを行うことで、QOLを大きく改善できる可能性があります。
この記事ではパーキンソン病の進行と予後についてわかりやすく解説していきます。
一緒にこの病気についてより深く理解し、より良い日々を送るためのヒントを見つけていきましょう。

目次

  • パーキンソン病の進行段階
    1-1 初期段階:まだ日常生活に大きな支障はない
    1-2 中期段階:症状が進行し、日常生活に支障が出てくる
    1-3 後期段階:重度の症状が現れ、介護が必要になる
  • パーキンソン病の予後
    2-1 平均余命と生活の質
    2-2 進行速度に影響を与える要因
    2-3 将来的に期待できること
  • パーキンソン病と上手に付き合うために
    3-1 医師や専門家との連携
    3-2 日常生活の工夫
    3-3 心のケア
  • まとめ

パーキンソン病の進行段階

1-1 初期段階:まだ日常生活に大きな支障はない
パーキンソン病の初期段階では、本人も周囲も気づきにくい、ごくわずかな症状から始まることが多くあります。

  • 手足の震え:特に安静時に現れやすく、指先や手が細かく震えることが特徴です。
  • 動作の緩慢:動作が遅くなり、歩幅が小さくなったり、立ち上がりが遅くなったりします。
  • 筋肉の固さ:筋肉がこわばり、動きがぎこちなくなることがあります。
  • 姿勢の不安定: 前かがみの姿勢になりやすく、バランスを崩しやすくなります。
  • 表情が乏しくなる:顔の筋肉が硬くなり、表情が乏しくなることがあります。

これらの症状はまだ軽度であり、日常生活に大きな支障はないことが多いです。
しかし、この段階から治療を開始することで、病状の進行を遅らせより長く快適な生活を送ることができます。

1-2 中期段階:症状が進行し、日常生活に支障が出てくる
初期段階の症状が徐々に進行し、日常生活に支障が出てくるのが中期段階です。

  • 歩行困難:小刻みな歩みになり、歩行が不安定になります。
  • 姿勢の不安定:転倒しやすくなり、日常生活に支障が出てきます。
  • 書字困難:文字が小さくなったり、震えたりして、書きにくくなります。
  • 嚥下困難:嚥下反射が低下し、飲み込みにくくなることがあります。
  • 自律神経症状:便秘、頻尿、起立性低血圧などがみられることがあります。

これらの症状により、家事や買い物など日常生活の動作が困難になり、自信を喪失してしまう方もいます。

1-3 後期段階:重度の症状が現れ、介護が必要になる
後期段階になると、症状がさらに悪化し、日常生活のほとんどの場面で介護が必要になります。

  • 寝たきり:ほとんど寝たきりの状態になり、生活のすべてを人に頼らなければなりません。
  • 認知機能の低下:記憶力や判断力が低下し、認知症を併発する方もいます。
  • 幻視:目の前のものが歪んで見えたり、いない人が見えることがあります。
  • 疼痛:関節痛や筋肉痛などの痛みを感じることがあります。

後期段階では、誤嚥性肺炎や褥瘡などの合併症のリスクも高まり、生命の危険が伴うこともあります。

パーキンソン病の予後

2-1 平均余命と生活の質
パーキンソン病の平均余命は、一般の人と比べて2~3年短いと言われています。
しかし、これはあくまでも平均であり、個人の状態や治療法によって大きく異なります。
適切な治療とリハビリテーションを行うことで、QOLを大きく改善し、より長く快適な生活を送ることができます。

2-2 進行速度に影響を与える要因
パーキンソン病の進行速度は、人によって大きく異なります。
進行速度に影響を与える要因は以下になります。

  • 年齢:高齢者ほど進行が早い傾向があります。
  • 遺伝:家族歴がある場合は、進行が早い可能性があります。
  • 生活習慣:運動不足や喫煙は、進行を早める可能性があります。
  • 病状の重症度:初期の症状が重いほど、進行が早い傾向があります。
  • 合併症の有無:心臓病や糖尿病などの合併症がある場合は、進行が早まる可能性があります。

2-3 将来的に期待できること
パーキンソン病は現在、根本的な治療法は確立されていませんが研究が進み、新しい治療法が開発されています。

  • 薬物療法:ドパミンを補う薬や、神経伝達物質の働きを調節する薬など、様々な薬物が開発されています。
  • 脳深部刺激療法:脳に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで、症状を改善する治療法です。
  • 遺伝子治療:遺伝子の異常を修復することで、根本的な治療を目指す研究が進んでいます。
  • 再生医療:損傷した神経細胞を再生させることで、症状を改善する治療法が期待されています。

リハビリテーションも非常に重要です。
運動療法、物理療法、作業療法など様々なリハビリテーションを受けることで、身体機能の維持・向上を図ることができます。

パーキンソン病と上手に付き合うために

3-1 医師や専門家との連携
パーキンソン病の治療には、医師や専門家との連携が不可欠です。
定期的に医師に診てもらい、薬の服用やリハビリテーションなど適切な治療を受けるようにしましょう。

3-2 日常生活の工夫
パーキンソン病と診断されたら、日常生活に工夫を凝らすことが大切です。

  • 安全な環境作り:床に滑り止めマットを敷いたり、手すりを設置したりするなど、転倒防止に努めましょう。
  • 運動療法:身体機能の維持・向上のため、医師や理学療法士の指導のもと適度な運動を行いましょう。
  • 食事療法:バランスの取れた食事を心がけ、便秘予防に努めましょう。
  • コミュニケーション:家族や友人とのコミュニケーションを大切にし心の支えを作りましょう。

3-3 心のケア
パーキンソン病は、身体だけでなく心にも大きな影響を与えます。
うつ病や不安障害などの精神的な問題を抱える方も少なくありません。

  • カウンセリング:心理療法士によるカウンセリングを受けることで、心の状態を安定させることができます。
  • 支援グループ:同じ病気を持つ人々と交流することで、孤独感を解消し、情報交換を行うことができます。
  • 趣味や娯楽:趣味や娯楽を楽しむことで、ストレスを解消し、QOLの向上に繋げましょう。

まとめ

パーキンソン病は脳の特定の神経細胞が徐々に損なわれ、身体の動きを制御する能力が低下していく進行性の神経疾患です。
主な症状としては、手足の震え、動作の緩慢、筋肉の固さ、姿勢の不安定などが挙げられます。
進行性の病気ですが、適切な治療とリハビリテーションを受けることで症状の進行を遅らせ、より長く快適な生活を送ることができます。
病気について正しく理解し、医師や専門家と連携しながら、自分にあった生活を送ることが重要です。

安原

執筆者:安原

施設長/理学療法士

施設長の安原です。
2019年に理学療法士免許を取得し大学卒業後、回復期病院と訪問リハビリで整形疾患や脳血管疾患を中心に経験し現在に至ります。
回復期病院では疾患の知識、治療技術の勉強(SJF、PNF、筋膜etc)に励み、チームリーダーや副主任を経験。
訪問リハビリでは在宅での日常生活動作を中心に介入しする。
一人ひとりの回復に対して集中して介入したいと思い、2023年9月から脳神経リハビリHL堺に勤務。
希望や悩みに対して寄り添い、目標とするゴールに向けて一緒に歩んでいければと思っています。