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パーキンソン病とは?どんな治療があるのか?

パーキンソン病とは?どんな治療があるのか?

はじめに

パーキンソン病は進行性の神経変性疾患です。脳の特定領域(黒質緻密部)にあるドーパミン産生神経細胞が徐々に失われることによって発症します。ドーパミンは運動や気分の調節に重要な役割を果たす神経伝達物質であり、その減少がパーキンソン病の様々な症状を引き起こします。今回は、パーキンソン病の病態と治療法に焦点を当ててこの記事を書きます。

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目次

  • パーキンソン病の病態
  • パーキンソン病の主な症状
  • パーキンソン病の原因
  • パーキンソン病の診断
  • パーキンソン病の治療
  • パーキンソン病に対する最新の治療法

パーキンソン病の病態

パーキンソン病の主な病態は以下の通りです。

  • ドーパミン産生神経細胞の変性・脱落:黒質緻密部のドーパミン産生神経細胞が何らかの原因で変性・脱落します。これにより線条体へのドーパミン供給が減少し、運動機能障害が生じます。
  • レビー小体:パーキンソン病患者の脳内には、レビー小体と呼ばれる異常なタンパク質のかたまりが蓄積していることが知られています。レビー小体は、ドーパミン産生神経細胞だけでなく、他の神経細胞にも出現し様々な症状の原因になると考えられています。
  • 神経炎症:パーキンソン病の病態には神経炎症が関与していると考えられています。神経細胞の変性・脱落に伴い、グリア細胞が活性化する事で炎症性物質を放出します。この炎症が神経細胞の障害をさらに悪化させる可能性があります。

パーキンソン病の主な症状

パーキンソン病の症状は、運動症状と非運動症状に分けられます。

運動症状

  • 振戦(ふるえ):安静時に手足や顎などに震えが見られます。
  • 筋強剛(筋固縮):筋肉がこわばり、動作が緩慢になります。
  • 運動緩慢・無動:動作が遅くなり、スムーズに行えなくなります。
  • 姿勢保持障害:バランスが取りにくくなり、転倒しやすくなります。

非運動症状

  • 自律神経症状:便秘、頻尿、発汗異常、起立性低血圧など
  • 精神症状:うつ病、不安、認知機能低下(認知症)、幻覚、妄想など
  • 睡眠障害:不眠、REM睡眠行動障害、過眠など
  • 感覚障害:嗅覚低下、味覚障害、痛み、しびれなど

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の正確な原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因、環境因子、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害などが複合的に関与していると考えられています。

パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断は、問診、神経学的検査、画像検査(MRI、PETなど)などに基づいて総合的に判断されます。特にレボドパという薬に対する反応を見ることは、パーキンソン病の診断において重要な手がかりとなります。

パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療は症状の緩和と進行の抑制を目的として行われます。

薬物療法

  • レボドパ:ドーパミンの前駆体であり、脳内でドーパミンに変換されて効果を発揮します。
  • ドーパミンアゴニスト:ドーパミン受容体を刺激し、ドーパミンの作用を模倣します。
  • MAO-B阻害薬:ドーパミンの分解を抑制し、ドーパミン量を増加させます。
  • COMT阻害薬:レボドパの効果を高め、持続時間を延長します。
  • 抗コリン薬:振戦や筋強剛を軽減します。

非薬物療法

  • リハビリテーション:運動療法、理学療法、作業療法などを行い、運動機能の維持・改善を図ります。
  • 外科的治療:深部脳刺激療法(DBS)などを行い、症状を軽減します。
  • 生活習慣の改善:バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理などが重要です。

パーキンソン病に対する最新の治療法

近年、パーキンソン病の治療法は目覚ましい進歩を遂げています。

ロボットリハビリテーション
ロボットは正確かつ一定の動作を繰り返すことができるため、効率的な反復運動をサポートします。これにより、患者は集中的にリハビリテーションに取り組むことができます。
また、患者の状態に合わせて、運動強度や動作パターンなどを細かく調整できる個別化されたプログラムを提供できます。これにより、患者一人ひとりに最適なリハビリテーションを提供することが可能になります。

再生医療
iPS細胞などを用いた再生医療は、パーキンソン病の根本的な治療法として注目されています。

光線療法
光線療法は、特定の波長の光を照射することでドーパミンの分泌を促進し、パーキンソン病の症状を改善する効果が期待されています。ドーパミンは、運動機能や気分の調節に重要な役割を果たしており、パーキンソン病患者ではドーパミンの分泌が低下していることが知られています。光線療法によってドーパミンの分泌を促進することで、症状の緩和に繋がると考えられています。

在宅リハビリテーション
在宅でのリハビリテーションは、通院の負担を軽減し、患者が自宅で継続的にリハビリテーションを行えるようにする手段です。近年では、オンラインでのリハビリテーション指導やVR(仮想現実)を用いたリハビリテーションプログラムなども開発されています。

生活習慣の改善
パーキンソン病の症状を緩和し、進行を遅らせるためには生活習慣の改善も重要です。
健康的な生活を送るためにはバランスの取れた食事が重要です。特にタンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルは積極的に摂取しましょう。また、毎日適度な運動を行うことも大切です。ウォーキングやストレッチなどの無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。睡眠も健康を維持するために不可欠です。十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活リズムを心がけましょう。ストレスを溜め込まず、趣味やリラックスできる活動を取り入れることも重要です。心身ともに健康な状態を保つために、これらの要素をバランス良く取り入れるようにしましょう。

まとめ

パーキンソン病は、様々な症状を伴う進行性の神経疾患ですが、近年、治療法は大きく進歩しています。薬物療法に加え、リハビリテーション、外科的治療、そして最新のロボットリハビリや光線療法などの多様な選択肢があります。諦めずに専門医と相談しながら、ご自身に最適な治療法を見つけてより豊かな生活を送ってください。

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池田

執筆者:池田

理学療法士

理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。