延髄梗塞といびき:見過ごしてはいけない危険なサイン

はじめに
「最近、いびきがひどいな…」
そう思ったら、ちょっと待ってください。
もしかしたら、そのいびきは、延髄梗塞という怖い病気のサインかもしれません。
延髄梗塞は、脳幹の一部である延髄に血液を送る血管が詰まることで起こります。
延髄は呼吸や心拍数など、生きるために欠かせない機能をコントロールする重要な場所です。
ここに障害が起こると、様々な症状が現れます。
その一つが、いびきなのです。
「たかがいびきでしょ?」
そう思うかもしれませんが、延髄梗塞が原因のいびきは決して軽視できません。
なぜなら、命に関わることもあるからです。
「最近いびきが気になる」「家族にいびきが酷くなったと言われた」
そんな方はぜひこの記事を読んで、ご自身のいびきについて考えてみてください。

目次
- 延髄ってどんなところ?
- 延髄梗塞の症状
- 延髄梗塞の診断
- 延髄梗塞の予防
- 延髄梗塞といびきの関係性
- もう一度確認しましょう!延髄梗塞のサイン
延髄ってどんなところ?
私たちの体には、生きていく上で欠かせない様々な機能が備わっていますよね。
呼吸をしたり、心臓が動いたり、食べ物を飲み込んだり…。
これらはすべて、脳からの指令によって行われています。
延髄は脳幹の一番下に位置し、これらの機能をコントロールする重要な役割を担っているのです。
延髄梗塞の原因
延髄梗塞の主な原因は、動脈硬化、血栓、心疾患、椎骨動脈解離などがあります。
これらの原因によって、延髄に血液が流れなくなり酸素や栄養が届かなくなると延髄の細胞が死んでしまいます。
延髄梗塞の症状
延髄梗塞の症状は、梗塞が起こった場所や範囲によって異なりますが、主な症状としては
- 嚥下障害: 食べ物や飲み物を飲み込みにくくなる
- 構音障害: 発音が不明瞭になる
- めまい・ふらつき: バランス感覚が失われ、体がふらつく
- 嘔吐: 吐き気や嘔吐が続く
- 感覚障害: 顔面や手足の感覚が鈍くなる、または失われる
- 運動障害: 手足の麻痺や運動失調が起こる
- 呼吸障害: 呼吸困難や呼吸停止を引き起こすことがある
- 意識障害: 意識レベルが低下することがある
などがあります。
延髄梗塞の診断
延髄梗塞の診断には神経学的検査、頭部MRI検査、MRA検査、血液検査、心電図検査などが行われます。
これらの検査によって、延髄の状態や血管の状態を詳しく調べることができます。
延髄梗塞の治療
延髄梗塞の治療は、発症からの時間や症状の程度によって異なりますが、主な治療法としては薬物療法、リハビリテーション、外科的治療などがあります。
延髄梗塞の予防
延髄梗塞を予防するためには、
- 食生活の改善: バランスの取れた食事を心がけ、塩分やコレステロールの摂取を控える
- 運動習慣: 適度な運動を継続する
- 禁煙: 喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進する
- 節酒: 過度な飲酒は血圧を上昇させ、不整脈を引き起こすことがある
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理: これらの疾患は動脈硬化を進行させるため、適切な治療を受ける
といった生活習慣を心がけることが大切です。

延髄梗塞といびきの関係性
さて、冒頭でお話したいびきですが、延髄梗塞とどのような関係があるのでしょうか?
延髄には呼吸中枢という呼吸をコントロールする場所があります。
延髄梗塞によってこの呼吸中枢がダメージを受けると、呼吸が正常に行われなくなり、いびきや無呼吸を引き起こすことがあるのです。
特に側頭延髄梗塞(Wallenberg症候群)では、いびきや睡眠時無呼吸症候群を合併する頻度が高いことが知られています。
延髄梗塞患者におけるいびきの重要性
延髄梗塞患者さんにとって、いびきはとても重要なサインです。
- 延髄梗塞の兆候: いびきは延髄梗塞の初期症状として現れることがあります。
- 睡眠時無呼吸症候群の合併: 延髄梗塞患者さんは、睡眠時無呼吸症候群を合併していることがあります。
- 治療法の選択: いびきの程度や睡眠時無呼吸症候群の有無は、治療法の選択に影響を与えることがあります。
もう一度確認しましょう!延髄梗塞のサイン
- いびきの変化: これまでいびきをかかなかった人が急にいびきをかき始めた、またはいびきの音が大きくなった、回数が増えた
- その他の症状: 嚥下障害、構音障害、めまい・ふらつき、嘔吐、感覚障害、運動障害、呼吸障害、意識障害
これらの症状に一つでも当てはまる場合は、迷わず救急車を呼んでください。
まとめ
今回は、延髄梗塞といびきの関係についてお話しました。
「最近いびきが気になるな…」
そう思った方は、もしかしたら延髄梗塞のサインかもしれません。
気になる症状がある場合は、放置せずに早めに医療機関を受診してください。
早期発見・早期治療が、延髄梗塞の重症化を防ぐためにとても大切です。
あなたの健康はあなた自身で守りましょう!

執筆者:池田
理学療法士
理学療法士の池田です。
2018年に理学療法士免許を取得し大学を卒業後、回復期病院のリハビリテーション病棟にて勤務。2021年に急性期病院の脳外科病棟にて勤務。2022年に訪問リハビリにて勤務。2025年より脳神経リハビリHL堺にて勤務となります。
回復期病院では、疾患の知識や治療技術の勉強に励み、外部研修に積極的に参加。
急性期病院では、脳外科病棟にて勤務。脳血管疾患のリハビリに従事し、発症間もなくの患者様の回復状況を予測する為の研究に参加。
訪問リハビリでは、日常生活状況に合わせたリハビリや住宅環境の相談など介入。
リハビリでは、本人様にとって安心して出来る日常生活動作を増やして行くと共に、特に歩ける生活を大事にしたいと考えます。よりよい生活が送れるように全力で援助をさせて頂きます。